「保安協会に入れば安泰」と言われた電験合格者へ。誰も教えてくれない業界の仕組み

電験三種の合格、本当におめでとうございます。
そして今、こんなことを考えていませんか。
- 「電気保安の仕事って、実際どうなんだろう」
- 「これって、稼げるのかな」
- 「そもそも、どんな業界なんだろう」
その疑問、周りに聞いても、たぶんスッキリした答えは返ってきません。意地悪をされているわけではありません。この業界は、仕組みそのものが外から見えにくい形になっているからです。
この記事では、電験のテキストには載っていない「業界の仕組み」の入口を、電気保安の現場からお話しします。
みんな「安泰だよ」と言うのに、詳しく聞くと歯切れが悪くなる
電験三種に受かると、必ずこう言われます。
- 「保安協会に入れば安泰だよ」
- 「独立すれば食いっぱぐれない資格だよ」
ところが、実際に働いている人に「稼げますか?」「どんな仕事ですか?」と踏み込んで聞くと、途端にみんな言葉を濁す。心当たりのある方も多いのではないでしょうか。
電験のテキストには、法規も計算も載っています。でも「この資格を取った先に、どんな業界構造が待っているか」は、どこにも書かれていません。だから、漠然とした不安だけが残る。まずはその構造から見ていきます。
実は、明治時代から続いている制度です
意外に思われるかもしれませんが、電気主任技術者という制度は明治時代からあります。
電気事業が産業として立ち上がったばかりの頃から、「事業場ごとに電気の安全を管理する責任者を置く」という考え方が法律で定められていました。100年以上続く制度の延長線上に、いま手にされた資格があるということです。
そして戦後、GHQの占領政策のもとで電力の供給体制が大きく組み替えられ、その流れの中から各地域の電気保安協会が生まれていきます。
このあたりの話には、「電気の鬼」と呼ばれた松永安左エ門という経営者が深く関わっています。ここは私が一番語りたいところなので、動画でじっくりお話しします。
そして、ある年。制度の“名前”が変わりました
かつてこの業界には「不選任承認申請」という制度がありました。
ざっくり言えば、「保安協会が定期的に点検してくれるなら、その事業場は主任技術者を選任しなくてよい」という考え方です。つまり当初は、協会がまとめて代わりに見るという発想でした。
ところが数年後、その名前が「外部委託承認申請」に変わります。
……変わったのは、名前だけではありませんでした。このとき同時に変わった“ある一点”が、いま語られる「一人がすべての責任を背負う」という構造を生んでいます。
何がどう変わったのか。私は1999年に高山営業所に入社し、まさにその転換点を現場で見ていました。その中身は、動画の中でお話しします。
今の業界を決めている、3つの構造
動画では、この3点も具体的に掘り下げます。特定の団体を批判したいのではなく、あくまで「仕組みの話」としてです。
① 責任の所在
法律上、担当設備の保安責任を一人で背負う立場に置かれやすい。個人の資質ではなく、制度がそういう前提で組まれているということです。
② 評価の仕組み
外部委託が価格競争の中で広がった結果、保安の“質”よりも“コスト”で比較されやすい構造ができました。
③ キャリアの見えにくさ
電験取得後にどんな道があるのか、外からはほとんど見えない。だから「稼げるのかな?」という不安が消えません。
誰かが悪いという話ではありません。時代とともにできあがった構造の話です。そして構造は、知れば変えていけるものでもあります。
保安協会の現場で、私が見たもの
私は保安協会で2年間、現場を経験しました。
そこで見たのは、先輩たちの高い技術と、電気を守るという誇りです。同時に、一人で責任を背負い続けることの重さも、肌で感じました。
だからHIKARIを立ち上げるとき、決めたことがあります。
「一人で背負わなくていい仕組みを作ろう」
「岐阜から、電気保安の新しいスタンダードを作ろう」
業界を否定したいのではありません。先輩たちが本当にやりたかったことを、次の形で実現したいだけです。
同じ電験合格者でも、ここで差がつきます
| 観点 | 構造を知らないまま進む | 構造を知った上で進む |
|---|---|---|
| 判断の材料 | 「安泰らしい」というイメージ | 歴史と制度の裏づけ |
| 就職・独立の選び方 | 待遇の数字だけで比べる | 責任の持ち方・体制まで見て選べる |
| 現場に立ったとき | 「聞いていた話と違う」と戸惑う | 想定内として受け止められる |
| 5年後・10年後 | 流れに任せたキャリア | 自分で選び直せるキャリア |
この差は、最初の1年ではなく、5年後・10年後に効いてきます。
よくある疑問
Q. 保安協会や電気保安の仕事は、実際のところ安定していますか?
A. 設備がある限り保安の需要はなくならないため、仕事そのものは安定しています。ただし「安定していること」と「一人で抱え込まずに働けること」は別の話です。だからこそ、体制まで見て就職先や働き方を選ぶ必要があります。
Q. 電験三種に受かれば、すぐ独立できますか?
A. 資格は出発点で、保安業務を請け負うには一定の実務経験が必要です。ただし国が認定する保安管理業務講習を活用すれば、必要年数を5年から3年へ短縮できます。詳しくは実務経験を短縮する「認定」の仕組みで解説しています。
Q. 未経験でも、この業界に入っていけますか?
A. 入れます。電験は独占業務を持つ資格で、有資格者そのものが不足しています。むしろ見極めたいのは、「入ったあとに一人で背負わされない体制かどうか」です。
続きは、動画でお話しします
【電験三種合格者へ】誰も教えてくれない電気保安業界の「仕組み」(約13分)
この記事で触れられなかった核心を、動画ですべてお話しします。
- 「不選任承認申請」から「外部委託承認申請」へ。同時に変わった構造の正体
- 松永安左エ門が遺した「電気は民間が担うべきだ」という思想
- 高山営業所の現場で、私が見た先輩たちの技術と、その重さ
- 電験合格後、実際にどんな働き方の選択肢があるのか
9月開催|HIKARI 電気保安講習
動画で全体像をつかんだら、次は具体的な中身です。
9月、HIKARIでは電気保安講習を開催します。電験の勉強では教えてもらえない「業界の仕組み」と「これからの働き方」を、実務の視点で具体的にお伝えします。
- 業界構造を踏まえた、自分に合ったキャリアの選び方
- 一人で抱え込まない保安体制とは、実際どういうものか
- 電験合格者が最初の1年でつまずくポイント
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電験合格、本当におめでとうございます。ここからのスタートを、ぜひ良い形で切ってください。
株式会社電気保安HIKARI 代表 江嵜祐二
この記事を書いた人:電気保安HIKARI




