電気保安2026.10.29

年次点検の停電日、お客様が準備しておくこと。当日の流れとチェックリスト

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年次点検の停電日、お客様が準備しておくこと。当日の流れとチェックリスト

「今年も年次点検の時期です。○月○日に停電をお願いします」

電気保安の担当者からこう連絡が来て、何を準備すればいいのか迷ったことはありませんか。

年次点検の停電は、年に1回の行事です。担当が替わったばかりで前回のことが分からない、という声もよく聞きます。

私たちは、停電点検は準備が9割だと考えています。作業そのものは私たち技術者が責任を持って行いますが、建物の中で何が止まるのかを一番よくご存じなのはお客様です。事前に少し確認しておくだけで、当日は安心して停電を迎えられます。

この記事では、年次点検の停電日に向けて、お客様に準備していただきたいことを整理します。

年次点検とは?月次点検との違い

キュービクル(高圧受電設備)をお持ちの事業場では、保安規程にもとづいて定期的な点検を行います。点検には大きく2種類あります。

月次点検年次点検
頻度原則として毎月原則として年1回以上
停電しない(電気を使ったまま)する(建物の電気を止める)
主な内容外観の確認、電圧・電流・漏れ電流の測定など月次点検の内容に加え、絶縁抵抗・接地抵抗の測定、保護装置の動作試験、清掃・増し締めなど

月次点検は、電気を使ったまま「変化がないか」を見る点検です。年次点検は、電気を止めて機器に触れ、月次点検では確かめられないところまで確認する点検です。

なぜ停電しないといけないのか

年次点検で確認する主な項目は、次のとおりです。

  • 電線や機器の絶縁が保たれているか(漏電や火災の予防)
  • **接地(アース)**が正しく効いているか(感電の予防)
  • 事故のときに電気を自動で止める保護装置が、正しく動くか
  • 非常用発電機がある場合、停電時に自動で起動するか
  • 蓄電池設備がある場合、電圧などが正常か

どれも、電気が流れたままでは安全に確認できない項目です。とくに保護装置の試験は、「いざという時に、きちんと電気を止められるか」を実際に動かして確かめるものです。万一の事故で被害を広げないための、いちばん大事な確認と言えます。

停電日を決めるときに考えること

業務への影響が少ない日を選ぶ

停電日は、お客様と打ち合わせて決めます。次のような日を候補にするのが一般的です。

  • 工場なら、生産ラインが止まる日(休日や長期休暇中など)
  • 店舗や事務所なら、定休日や営業時間外
  • 病院や福祉施設など止められない施設は、非常用発電機の運転も含めて計画します

停電する時刻と、電気が戻る時刻をはっきりさせる

「何時に停電して、何時に電気が戻るのか」を曖昧にしないことが大切です。停電にかかる時間は、設備の規模や点検の内容によって変わります。当社の場合、おおよその目安は次のとおりです。

設備の規模停電時間の目安
小規模(300kVA以下)1時間未満
中規模(1,000kVA前後)2〜3時間
大規模(それ以上・変電設備が複数)5〜6時間

実際の時間は設備ごとに異なるため、事前に担当の技術者に確認し、社内やテナントへの案内に正確な時刻を書いておきましょう。

停電すると止まるもの:事前チェックリスト

ここが、お客様にいちばん確認していただきたいところです。停電の当日に「これも止まるの?」とならないよう、建物の中を思い浮かべながらチェックしてみてください。

建物・設備

  • エレベーター:停電の前に止め、中に人がいないことを確認
  • 自動ドア・電気錠・シャッター:開け閉めの方法を確認
  • 給水ポンプ:止まると上の階で水が出なくなることがあります
  • 照明・空調:作業する場所の明かりや、夏冬の室温への影響
  • 冷蔵庫・冷凍庫:中の物の温度管理(扉を開けないなど)

業務・IT

  • パソコン・サーバー:事前に正しくシャットダウン
  • UPS(無停電電源装置):何分もつのか。停電時間より短ければ事前停止が必要
  • 電話・インターネット・防犯カメラ:停電中は使えないことがあります
  • 生産設備・制御装置:停止と再起動の手順。急に止まると不具合が出る機械もあります

連絡・周知

  • 社員・テナント・利用者への案内:日時と影響を事前に周知
  • 警備会社への連絡:停電で警報が出ることがあります
  • 防災設備:火災報知設備などに表示や警報が出る場合があります。必要に応じて関係先へ連絡

すべてを完璧にそろえる必要はありません。分からないものがあれば、そのまま担当の技術者にご相談ください。一緒に確認するのも、私たちの仕事です。

当日の流れ

一般的な流れは次のとおりです。

  1. 打ち合わせ:作業手順、停電・復電の時刻、立ち会いの方の確認
  2. 停電:決めた手順どおりに電気を止め、電気が来ていないことを確かめてから作業を始めます
  3. 点検・測定・試験:清掃や増し締め、絶縁抵抗・接地抵抗の測定、保護装置の動作試験など
  4. 復電:機器の状態を確認してから、順番に電気を戻します
  5. 報告:点検の結果と、気になる点があればその内容をご説明します

停電と復電の操作は、誰が何をするのかを事前に決め、声に出して確認しながら行います。作業中は、キュービクルや電気室の周りに近づかないようお願いします。

電気が戻ったら確認すること

  • 照明・空調・エレベーター・給水が元どおり動いているか
  • パソコン・サーバー・生産設備が正常に立ち上がったか
  • 時計やタイマーで動く機器(照明・空調・看板など)の時刻がずれていないか
  • 冷蔵庫・冷凍庫の温度が戻っているか
  • 警報や異常表示が残っていないか

何か普段と違うことがあれば、遠慮なく担当の技術者にお伝えください。

点検の結果は「設備の健康診断」

年次点検の報告では、測定の結果に加えて、劣化が進んでいる部品や、そろそろ取り替えを考えたほうがよい機器についてもお伝えします。

キュービクルの機器には、それぞれ取り替えの目安となる時期があります。急な故障で停電が起きると、原因の調査から始まり、復旧までに時間がかかります。年次点検の結果をもとに、計画的に更新を進めることで、予定外の停電を防ぐことができます。

毎年の停電が難しい場合は

「毎年の停電が業務上どうしても難しい」というご相談もいただきます。

信頼性が高いなどの条件を満たす機器で、停電しない方法の点検を毎年行う場合は、国の承認を受けて、停電による年次点検を3年に1回にできる場合があります。適用できるかどうかは、設備の状態や構成によって変わります。

また、電気を止めずに状態を確認する無停電検査という方法もあります。止められない現場でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

まとめ

  • 年次点検は、原則として年に1回、電気を止めて行う点検です
  • 停電日は、業務への影響が少ない日を選び、停電と復電の時刻をはっきりさせます
  • 停電で何が止まるかを事前にチェックしておけば、当日は安心です
  • 分からないことは、担当の技術者にそのまま相談してください

株式会社電気保安HIKARIは、岐阜・愛知・三重の東海エリアで、キュービクルの月次点検・年次点検・電気保安管理を承っています。停電日の段取りから一緒に考えますので、どうぞお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人:電気保安HIKARI

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