月次点検とは?電気を止めずに安全を守る保守管理の基本
企業や施設を運営する上で、電力供給の安定性は事業継続の生命線です。製造ラインの停止、データセンターのダウン、店舗の営業停止など、電気トラブルは企業活動全体に深刻な影響を及ぼします。
こうしたリスクを未然に防ぐために欠かせないのが「月次点検」です。月次点検とは、毎月1回実施する電気設備の保守点検のことで、最大の特徴は「電気を止めずに実施できる」点にあります。
年次点検が停電を伴う精密試験であるのに対し、月次点検は通常の業務を継続しながら、目視や測定によって設備の健全性を確認します。これにより、お客様の事業活動を中断させることなく、日常的な監視体制を構築できるのです。
株式会社電気保安HIKARIでは、東海地方を中心に、企業や施設の電気設備保守管理サービスを提供しています。私たちは月次点検を「業務継続性を最優先にした安全管理」として位置づけ、専門資格を持つ技術者が確実な点検を実施しています。
本記事では、月次点検の重要性から具体的なチェック項目、そして企業にもたらすメリットまで、実務経験に基づいて詳しく解説します。電気保安管理の責任者や施設管理担当者の方々に、実践的な知識としてお役立ていただける内容です。
なぜ月次点検が必要なのか?事業継続性を守る3つの理由
電気設備の保守管理には、主に「月次点検」と「年次点検」の2種類があります。それぞれに明確な役割がありますが、月次点検が特に重視される理由を3つの観点から説明します。
計画外の停電は企業活動に致命的な損害をもたらす
現代の企業活動において、予期せぬ停電は許容できないリスクです。製造業であれば生産ラインの停止により数百万円から数千万円の損失が発生することもあります。データセンターでは、わずか数分のダウンタイムが顧客の信頼を大きく損なう可能性があります。
月次点検は、こうした計画外の停電を防ぐための「予防保全」の最前線です。電気を止めずに実施できるため、業務への影響を最小限に抑えながら、設備の状態を継続的に監視できます。
小さな異常が大きな事故の前兆である
電気設備のトラブルは、ある日突然発生するわけではありません。多くの場合、事故の数週間から数ヶ月前に、何らかの初期症状が現れています。
例えば、接続部のわずかな緩みは、最初は目立った問題を引き起こしません。しかし時間の経過とともに接触抵抗が増大し、局所的な発熱が始まります。この段階で発見できれば、ボルトの締め直しという簡単な作業で解決できます。
ところが放置すると、発熱はさらに進行し、やがて絶縁体の劣化、アーク放電、最悪の場合は火災に至ります。このような事態を防ぐには、月に1回という高い頻度で設備を監視し、初期症状を見逃さないことが重要です。
実際に当社で経験した事例では、ある製造工場の月次点検で遮断器の接続部に軽微な変色を発見しました。この時点では設備は正常に動作していましたが、温度測定により通常より10度高い発熱を確認。すぐに対処したことで、将来的な事故を未然に防ぐことができました。
年次点検をスムーズに進めるための情報収集
月次点検には、年次点検の準備という重要な役割もあります。年次点検は停電を伴う精密試験のため、限られた時間内で効率的に実施する必要があります。
月次点検で日常的に設備の状態を把握しておくことで、年次点検時に重点的にチェックすべき箇所や、交換が必要な部品を事前に特定できます。これにより、年次点検の停電時間を最小限に抑え、事業への影響を軽減できるのです。
月次点検の実務:専門技術者が見ている重要なポイント
月次点検では、資格を持つ専門技術者が高圧受電設備(キュービクル)を中心に、目視点検と測定を実施します。一見単純に見える作業ですが、実際には豊富な経験と専門知識が必要とされる高度な業務です。
外観チェックで読み取る設備の健康状態
キュービクルの外観点検は、設備の置かれた環境や経年劣化の進行度を把握する重要な作業です。
筐体の状態確認では、腐食や錆、変形、亀裂の有無をチェックします。特に屋外設置のキュービクルでは、屋根部分や基礎部分の防水処理が適切かどうかが重要です。筐体に破損があると雨水や湿気が侵入し、絶縁劣化や短絡事故の原因となります。
換気口や放熱孔の確認も欠かせません。これらがゴミや鳥の巣で塞がれていると、キュービクル内部の温度が上昇します。変圧器などの電気機器は熱に弱く、過度な温度上昇は機器の寿命を大幅に縮めます。実際に、換気不良が原因で変圧器が故障し、数百万円の修理費用が発生したケースもあります。
高圧引込線やケーブルの接続部も重要なチェックポイントです。接続部に緩みがあると、そこで電気抵抗が増加し、異常発熱を起こします。この初期症状は、接続部周辺の変色や焦げ跡として現れることが多く、経験豊富な技術者であれば目視で発見できます。
五感を使った異常の早期発見
専門技術者は、目視だけでなく聴覚や嗅覚も活用して異常を検知します。
変圧器からは通常、「ジー」という電磁音が聞こえます。しかし「バチバチ」という音が聞こえる場合は放電が発生している可能性があり、「ブーン」という異常な唸り音は過負荷や内部故障の兆候です。冷却ファンやポンプから機械的な異音がする場合も、軸受けの摩耗など機械的なトラブルを示しています。
嗅覚も重要なセンサーです。絶縁体が過熱すると独特の焦げ臭いにおいが発生します。変圧器の絶縁油が劣化・過熱した際にも特有のにおいがします。これらの異臭を感じ取ることで、目視では確認できない内部の異常を察知できる場合があります。
当社では、現場経験26年の講師による指導のもと、こうした実践的なスキルを技術者に教育しています。マニュアルだけでは習得できない、現場で培われたノウハウが月次点検の品質を支えています。
測定作業で数値化する設備の状態
目視点検と並んで重要なのが、各種測定による設備状態の数値化です。月次点検では電気を止めずに実施できる「非停電測定」を中心に行います。
電圧・電流・力率の測定が示す設備の負荷状態
受電点や主要回路における電圧と電流の測定は、設備が適切に運用されているかを確認する基本的な作業です。
電圧が規定値から大きく外れている場合、供給側の問題か、設備側の問題かを判断する必要があります。電流値が異常に高い回路があれば、その系統の負荷設備に過負荷や異常が発生している可能性があります。
三相回路では、各相の電流バランスも重要です。三相の電流値が極端に不均衡な場合、変圧器の効率が低下し、発熱の原因となります。また、特定の機器に過度なストレスがかかっている可能性もあります。
これらの測定データは、単に異常の有無を確認するだけでなく、省エネルギー対策の基礎資料としても活用できます。電力使用パターンを分析することで、デマンド管理の最適化や、より効率的な設備運用の提案につなげることができます。
温度測定による異常発熱の早期発見
非接触型の赤外線温度計やサーモグラフィーを使用し、接続部や機器表面の温度を測定します。
正常な電気設備でも動作中には発熱しますが、異常な発熱は接続不良や内部劣化の明確なサインです。特に接続部の温度が周囲より10度以上高い場合は、接触抵抗の増大を疑う必要があります。
温度測定の利点は、測定値を毎月記録し、経年変化を追跡できる点です。徐々に温度が上昇している箇所があれば、劣化が進行していることを示しており、適切なタイミングでの部品交換や補修を計画できます。
ある商業施設での事例では、分電盤の特定のブレーカー接続部が、毎月の測定で徐々に温度上昇を示していました。数ヶ月のデータを分析した結果、接続部の緩みと判断し、定期点検の際に締め直しを実施。これにより、将来的なトラブルを回避できました。
太陽光発電設備の監視と保守
太陽光発電設備を導入している施設では、月次点検で発電状況の監視も行います。
発電量が期待値を下回っている場合、パネルの汚れ、配線の接続不良、インバーターの不調など、さまざまな原因が考えられます。月次点検でこれらを早期に発見することで、発電効率の低下を最小限に抑えられます。
太陽光発電システムは屋外に設置されているため、天候や季節の影響を受けやすく、定期的な監視が特に重要です。パネルの表面に汚れが蓄積すると発電効率が大きく低下するため、必要に応じて洗浄を行います。
HIKARIの月次点検サービスが選ばれる理由
株式会社電気保安HIKARIの月次点検サービスは、単なるルーティン作業ではなく、お客様の事業を支える包括的なサポート体制によって成り立っています。
全員が資格保有者による確実な点検
当社のスタッフは全員が電気主任技術者などの必要な資格を保有しています。月次点検において異常を発見した際、その診断能力と対応の迅速性が問われます。
資格を持つ技術者だからこそ、微細な異常のサインを見逃さず、その重要度を正確に判断できます。また、異常発見時には、応急処置から恒久対策まで、適切なアドバイスと対応を提供できます。
東海地方を拠点とする地域密着型の体制により、緊急時には迅速な駆けつけが可能です。電気トラブルは時間との戦いです。当社では、お客様からの連絡に対して、可能な限り早い対応を心がけています。
透明性の高い料金体系と柔軟な対応
電気保安管理の料金は、施設の規模や設備の種類によって異なります。当社では、お客様の状況に応じた柔軟な料金プランを提案し、すべてのサービス項目について明確に説明します。
「現在の点検料金が高い」「今の業者の対応に不満がある」といったご相談も多くいただきます。当社では、現行契約の内容を確認した上で、より適切なプランをご提案します。業者の乗り換えに関する手続きも、すべてサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。
技術力の継承を支える教育体制
月次点検の品質は、それを実施する技術者のスキルに直結します。当社では、現場経験26年の講師による実践的な教育プログラムを実施しており、若手技術者の育成に力を入れています。
電気主任技術者の資格取得支援はもちろん、実際の現場で即戦力として活躍するための実務スキルを体系的に指導しています。この継続的な技術者育成により、高品質なサービスを安定的に提供できる体制を構築しています。
技術の継承は、単に知識を伝えるだけでなく、現場で培われた経験やノウハウを次世代に引き継ぐことを意味します。この取り組みが、当社の専門性と信頼性の基盤となっています。
月次点検がもたらす企業経営へのメリット
月次点検は、単なる法令遵守や安全管理だけでなく、企業経営にとって実質的なメリットをもたらします。
計画的な設備投資と修繕費用の平準化
月次点検により設備の状態を継続的に把握することで、突発的な故障を減らし、計画的な設備投資が可能になります。
突然の設備故障は、修理費用だけでなく、緊急対応のための追加コストや、業務停止による機会損失など、多大な経済的損失をもたらします。月次点検による予防保全は、これらのリスクを大幅に低減します。
また、設備の劣化状況を把握することで、大規模修繕や設備更新のタイミングを適切に計画できます。急な支出を避け、予算を平準化することで、財務面でも健全な経営が実現できます。
省エネルギーと電気料金の削減
月次点検で取得する電圧・電流・力率などのデータは、省エネルギー対策の重要な基礎資料です。
電力使用パターンを分析することで、無駄な電力消費を特定し、改善策を提案できます。例えば、力率が低い場合は力率改善コンデンサの設置を検討することで、電気料金の基本料金を削減できる可能性があります。
デマンド管理の最適化により、契約電力の見直しも可能です。実際の使用電力に合わせて契約内容を適正化することで、年間数十万円から数百万円の電気料金削減につながるケースもあります。
事業継続計画(BCP)の実効性向上
災害や事故が発生した際に、事業をいかに早く復旧させるかは、企業の存続に関わる重要な課題です。
日常的な月次点検により、電気設備の脆弱性や改善点を把握しておくことで、より実効性の高い事業継続計画を策定できます。また、緊急時の対応手順を技術者と共有しておくことで、いざという時の復旧時間を短縮できます。
電気設備の安全性と信頼性を高めることは、企業の社会的責任を果たすことでもあります。従業員や顧客、取引先からの信頼を維持するためにも、適切な保守管理は欠かせません。
まとめ:月次点検で実現する安全で効率的な施設運営
月次点検は、電気を止めずに実施できる保守管理として、企業の業務継続性を最大限に尊重しながら、設備の安全性を確保する重要なサービスです。
専門資格を持つ技術者による精度の高い目視点検と測定により、潜在的な異常を早期に発見し、重大な事故を未然に防ぎます。これは単なる法令遵守ではなく、企業経営を守るための積極的な投資といえます。
株式会社電気保安HIKARIは、高い技術力と柔軟な対応、透明性の高いサービスにより、お客様の施設を安全かつ効率的に保つパートナーとして、継続的なサポートを提供しています。
月次点検や電気保安管理全般に関するご相談、現在の業者からの乗り換えをご検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。お客様の事業継続と安全な施設運営のために、最適なプランをご提案いたします。
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