電力使用状況の分析が導く、確実な省エネ改善の道筋

企業経営において、電気料金の高騰は深刻な課題となっています。多くの企業が「節電」という言葉のもと、照明を減らしたり空調温度を調整したりといった対症療法的な対策に追われていますが、それだけでは持続的なコスト削減には繋がりません。

本当に必要なのは、自社の電力使用状況を正確に把握し、データに基づいて改善策を実行していくアプローチです。株式会社電気保安HIKARIは、電気設備の保安管理を専門とする企業として、お客様の施設における電力使用状況を継続的に分析し、具体的な省エネ改善事例を数多く実現してきました。

本記事では、私たちが培ってきた経験と専門知識をもとに、実際の改善事例をご紹介しながら、データ分析に基づく省エネ戦略の重要性と、その実践方法について詳しく解説いたします。経営者の方はもちろん、施設管理のご担当者様にとっても、明日からの業務に活かしていただける内容となっています。


なぜ電力使用状況の分析が省エネの第一歩なのか

多くの企業が省エネに取り組んでいますが、実際に大きな成果を上げている企業とそうでない企業には、明確な違いがあります。それは「データに基づいた改善」を行っているかどうかです。

従来の省エネ対策の限界

「電気代が高いから節電しよう」という掛け声のもと、従業員の皆様に協力を呼びかける。これ自体は決して間違いではありません。しかし、どこにどれだけの電力が使われているのか、どの時間帯に電力使用が集中しているのかを把握せずに対策を打っても、効果は限定的です。

例えば、照明をこまめに消すことを徹底しても、実は施設全体の電力消費に占める照明の割合が10%程度であれば、削減効果は微々たるものです。一方で、空調設備が電力消費の50%を占めているなら、そちらに注力すべきです。

データ分析がもたらす3つのメリット

電力使用状況を分析することで、次のような具体的なメリットが得られます。

1. 優先順位の明確化 どの設備や時間帯に改善の余地が大きいかが明確になり、投資対効果の高い対策から実行できます。

2. 数値目標の設定 「なんとなく節電」ではなく、「月間で◯kWh削減」という具体的な目標が設定でき、改善の成果を正確に測定できます。

3. 継続的な改善サイクルの確立 定期的にデータを確認することで、対策の効果検証と次の改善策の立案が可能になり、PDCAサイクルが回り始めます。

HIKARIが提供する「生きたデータ」の価値

私たちHIKARIの強みは、単発の省エネ診断ではなく、日常的な保安管理業務の中で継続的にデータを収集・分析している点にあります。

月次点検では、電気を停止せずに設備の状態を確認します。このとき、各回路の電流値や電圧値、力率などのデータを測定しています。これらのデータは、その時点での設備の運用状況を反映した「生きた情報」です。

年次点検では、停電を伴う精密検査を実施します。絶縁抵抗の測定や保護継電器の動作試験などを通じて、設備の健全性を詳細に確認するとともに、変圧器の効率性や各機器の経年劣化の状況なども把握します。

こうした継続的なデータ収集により、単なる瞬間的な測定では見えてこない、施設の電力使用における傾向や課題が明確になるのです。


実績に基づく省エネ改善事例:基本料金の削減戦略

電気料金は「基本料金」と「電力量料金」の2つで構成されています。多くの企業が電力量料金の削減に注目しがちですが、実は基本料金の見直しこそが、大きなコスト削減に繋がるケースが少なくありません。

デマンド値が基本料金を決める仕組み

電力会社との契約において、基本料金は「契約電力」に基づいて決定されます。この契約電力は、過去1年間で記録した最大デマンド値(30分間の平均電力)によって決まります。

つまり、たった一度、短時間だけ電力使用が集中してしまうと、その後1年間は高い基本料金を支払い続けることになるのです。これは、多くの企業経営者の方が見落としがちな、非常に重要なポイントです。

ある製造業での改善事例

愛知県内の製造業A社様では、夏場のピーク時にデマンド値が跳ね上がり、年間を通じて高額な基本料金を支払っている状況でした。

私たちが電力使用状況を分析したところ、午後2時から3時の時間帯に、複数の大型設備が同時に稼働することで、デマンド値が急上昇していることが判明しました。特に、空調設備の圧縮機とコンプレッサー、そして成形機が同じタイミングで起動していたのです。

そこでA社様にご提案したのは、設備の起動タイミングをずらす運用改善でした。具体的には以下の対策を実施しました。

  • コンプレッサーの起動を15分早める
  • 成形機の起動を20分遅らせる
  • 空調設備に自動デマンド制御装置を導入し、ピーク時の出力を自動調整

この運用改善により、最大デマンド値を従来の420kWから350kWまで削減することに成功しました。基本料金は約15%の削減となり、年間で約120万円のコスト削減を実現しています。

三相負荷のバランス調整という視点

さらに、私たちの分析で注目しているのが、三相負荷のバランスです。三相交流を使用している施設では、3つの相(R相、S相、T相)の負荷が均等に分散されていることが理想です。

しかし実際には、設備の増設や改修を繰り返すうちに、特定の相に負荷が偏ってしまっているケースが多く見られます。この不均衡は、変圧器や配線に余計なストレスをかけるだけでなく、電力損失も増加させます。

ある商業施設B社様では、R相に過度な負荷が集中していることが判明しました。負荷の再配分を行った結果、設備全体の効率が向上し、電力損失が約8%削減されました。この対策により、年間約60万円のコスト削減と、設備の長寿命化という副次的効果も得られています。


高効率機器への更新で実現する大幅なランニングコスト削減

設備の経年劣化は避けられません。古い設備をそのまま使い続けることは、実は「目に見えないコスト」を払い続けていることと同じです。

LED照明への切り替え効果

照明設備のLED化は、もはや標準的な省エネ対策となっていますが、その効果は想像以上に大きいものです。

ある物流倉庫C社様では、水銀灯やハロゲン灯をLED照明に全面的に切り替えました。従来の照明設備の消費電力は約80kW、年間稼働時間は約3,000時間でした。

LED化後の消費電力は約25kWまで削減され、年間の電力消費量は約165,000kWh削減されました。電気料金に換算すると、年間約250万円のコスト削減です。

さらに重要なのは、LED照明は寿命が長いため、球切れ交換の頻度が大幅に減少する点です。倉庫のような天井の高い施設では、照明の交換作業に高所作業車が必要となり、作業コストも馬鹿になりません。C社様では、メンテナンスコストも年間約40万円削減されています。

空調設備の更新がもたらす複合的効果

空調設備は、多くの施設において最大の電力消費源です。特に、15年以上前の空調設備をお使いの場合、最新の高効率機器と比べて消費電力が2倍近く異なるケースもあります。

オフィスビルD社様では、築20年の建物に設置されていた空調設備を、最新の高効率機器に更新しました。旧設備の年間消費電力は約350,000kWhでしたが、新設備では約210,000kWhまで削減され、年間約200万円のコスト削減を実現しています。

さらに、最新の空調設備は制御機能も進化しており、室温の均一化や湿度管理の精度向上により、オフィス環境の快適性も大幅に向上しました。従業員の方々からも「夏場の暑さが緩和された」「冬場の足元の冷えが改善された」といった好評をいただいています。

キュービクル内変圧器の効率化

キュービクルとは、高圧で受電した電力を、施設内で使用できる低圧に変換するための変電設備です。その中核となるのが変圧器ですが、この変圧器にも効率の良し悪しがあります。

変圧器の損失には「無負荷損」と「負荷損」の2種類があります。無負荷損は、たとえ電気を使っていなくても常に発生する損失で、これが意外と馬鹿になりません。

ある工場E社様では、設置から25年が経過した変圧器を使用していました。この変圧器の無負荷損は約2kWで、年間では約17,500kWhの電力が無駄に消費されていました。

高効率変圧器に更新した結果、無負荷損は約0.8kWまで削減され、年間約10,500kWhの電力削減を実現。金額にして約15万円のコスト削減となりました。

補助金活用で投資負担を軽減

高効率機器への更新には、確かに初期投資が必要です。しかし、国や自治体が提供する省エネ関連の補助金を活用することで、この負担を大きく軽減できます。

私たちHIKARIでは、補助金申請のサポートも行っています。補助金の種類は多岐にわたり、申請手続きも複雑ですが、お客様の施設や導入予定の設備に最適な補助金制度をご提案し、申請書類の作成から提出までをトータルでサポートいたします。

実際に、先ほどご紹介したオフィスビルD社様の空調設備更新では、「既存建築物省エネ化推進事業」の補助金を活用し、初期投資の約30%に相当する補助を受けられました。この結果、投資回収期間は当初の8年から5年程度に短縮されています。


運用改善と環境貢献を両立させる実践的アプローチ

省エネは、必ずしも大きな設備投資を伴う必要はありません。日々の運用を見直すだけでも、大きな効果が得られるケースは多くあります。

エアコン運用の最適化テクニック

エアコンの効率的な運用は、電力削減の基本中の基本です。しかし、意外と誤解されている部分も多いのが実情です。

設定温度の適正化 夏場の冷房設定温度を1度上げるだけで、約10%の電力削減が可能です。「28度は暑すぎる」という声もありますが、実は湿度管理を適切に行えば、28度でも十分快適に過ごせます。

フィルター清掃の重要性 エアコンのフィルターが目詰まりすると、風量が低下し、設定温度まで冷やすのに余計な電力が必要になります。月1回の清掃を徹底するだけで、約5%の電力削減効果があります。

外気導入の最適化 春や秋の中間期には、外気温を活用した自然冷房が効果的です。外気温が室温より低い時間帯には、外気を積極的に取り入れることで、空調の稼働時間を削減できます。

ある学校法人F様では、これらの運用改善を徹底した結果、設備投資なしで年間約80万円の電気代削減を実現されました。

太陽光発電の自家消費という選択肢

環境貢献と経済性を同時に実現する方法として、太陽光発電の自家消費システムが注目されています。

太陽光発電というと「売電」をイメージされる方が多いのですが、現在の買取価格では経済性が低下しています。一方で、発電した電力を自社で消費する「自家消費」であれば、電力会社から購入する電力を減らせるため、高い経済効果が期待できます。

食品工場G社様では、屋根に太陽光パネルを設置し、日中の電力需要をカバーする自家消費システムを導入しました。年間発電量は約150,000kWhで、電力会社からの購入電力を約20%削減。年間約220万円のコスト削減を実現しています。

さらに、この取り組みは環境報告書などでアピールすることで、企業イメージの向上にも繋がっています。近年、取引先や消費者から環境配慮を求められるケースが増えており、こうした実績は企業価値の向上に直結します。

見える化システムの導入効果

電力使用状況を「見える化」するシステムの導入も、効果的な運用改善に繋がります。

リアルタイムで電力使用量が確認できることで、従業員の方々の省エネ意識が高まります。また、管理者の方は、異常な電力消費にすぐに気づくことができ、設備トラブルの早期発見にも役立ちます。

ホテルH様では、見える化システムの導入により、各階・各エリアごとの電力使用状況が把握できるようになりました。その結果、使用していない客室のエアコンが稼働し続けていたことが判明し、運用ルールの見直しにより年間約45万円のコスト削減を実現されています。


HIKARIの専門性が支える確実な省エネ実現

ここまでご紹介してきた改善事例は、すべて専門知識と継続的なサポート体制があってこそ実現できたものです。

全員が資格保有者という安心感

私たちHIKARIのスタッフは、全員が電気主任技術者などの国家資格を保有しています。電気設備の保安管理は、専門的な知識と経験が不可欠な業務です。

電気主任技術者とは、電気設備の工事・維持・運用の保安監督を行うための国家資格です。この資格を取得するには、電気に関する高度な知識が求められ、合格率は10%前後という難関資格です。

私たちがお客様に提案する省エネ対策は、こうした専門資格者の目で、安全性と実現可能性を十分に検証したものです。「コストは削減できたけれど、設備トラブルが増えた」といったことは決して起こりません。

現場経験に裏打ちされた提案力

資格だけでなく、現場での実務経験も重要です。私たちHIKARIは「電気保安の学校」という教育プログラムを運営しており、現場経験26年の講師による実践的な指導を行っています。

この教育プログラムでは、単なる試験対策ではなく、実際の現場で遭遇する様々な状況への対応方法を学びます。例えば、古い設備の特性や、メーカーごとの違い、トラブル時の適切な判断方法などです。

こうした実践的な知識があるからこそ、お客様の施設の個別事情に応じた、最適な提案ができるのです。

柔軟な対応と透明性の高い料金体系

私たちは、お客様の事業規模や予算に応じた柔軟なプランをご提案しています。料金体系も明確で、追加費用が発生する場合には事前に必ずご説明いたします。

もし現在の点検業者の対応に不満がある場合、業者の乗り換えもサポートしています。契約見直しにより、サービス品質を向上させながらコスト削減を実現できるケースも多くあります。

また、私たちは東海地方を拠点とする地域密着型の企業です。緊急トラブルの際にも、迅速に駆けつけられる体制を整えています。実際に、お客様から「夜間にトラブルが発生したが、1時間以内に来てくれて助かった」といったお声をいただいています。

竣工後の継続的なサポート

省エネ改善工事が完了した後も、私たちのサポートは続きます。

改修後には必ず竣工検査を実施し、設備が正常に機能していることを確認します。外観確認、絶縁抵抗測定、保護継電器の動作試験など、丁寧で確実な検査を行います。

そして、その後の定期点検においても、改善効果の検証を継続的に行います。想定通りの省エネ効果が出ているか、新たな改善点はないかを常にチェックし、お客様の施設の最適化を継続的にサポートいたします。


まとめ:データ分析から始める確実な省エネ戦略

電力使用状況の分析に基づく省エネ改善事例をご紹介してまいりました。重要なポイントを改めて整理します。

データ分析の重要性 感覚や経験だけに頼らず、正確なデータに基づいて改善策を立案することで、投資対効果の高い省エネが実現できます。

基本料金削減の可能性 デマンド管理の最適化により、電力量を削減しなくても大きなコスト削減が可能です。

高効率機器の効果 初期投資は必要ですが、補助金を活用することで負担を軽減でき、長期的には確実にコスト削減に繋がります。

運用改善の即効性 設備投資なしでも、運用方法を見直すだけで相当な省エネ効果が得られます。

専門家のサポートの価値 安全性を確保しながら最大の効果を得るには、専門知識を持つパートナーの存在が不可欠です。

私たち株式会社電気保安HIKARIは、お客様の経費圧縮と持続可能な経営の実現を、専門的な立場からサポートいたします。省エネ改善をご検討されている方、現在の保安管理体制を見直したい方は、ぜひ一度ご相談ください。

お問い合わせは、メール(contact@d-hikari.co.jp)または電話(090-4140-8539)にて24時間365日受け付けております。オンラインフォームからのご相談も可能です。

お客様の施設に最適な省エネ戦略を、私たちHIKARIがご提案いたします。