キュービクルの月次点検では何を見ているの? 点検の中身と、立ち会いでお願いしたいこと
「今月も点検に伺いました。よろしくお願いします」
毎月やって来る電気保安の担当者が、キュービクルの扉を開けて、何かを見たり測ったりして、最後に報告書を置いていく。
「異常なしと書いてあるけれど、実際には何を見ているのだろう」 「立ち会いと言われても、横で何をしていればいいのか分からない」
そう感じたことのある方は少なくないと思います。担当が替わったばかりで、前任の方から引き継ぎが十分でなかった、という声もよく聞きます。
この記事では、キュービクル(高圧受電設備)の月次点検で私たちが何を確認しているのか、そして立ち会いのときにお客様にお願いしたいことを整理します。
月次点検は「電気を止めずに行う」定期点検
高圧で電気を受けている工場・ビル・病院・学校などには、国の決まりにもとづいて電気保安の担当者(電気主任技術者)がつき、定期的に点検を行います。点検には、大きく分けて次の2つがあります。
| 月次点検 | 年次点検 | |
|---|---|---|
| 頻度 | 原則として月1回以上 | 原則として年1回以上 |
| 電気 | 止めない(使ったまま) | 止める(停電して行う) |
| ねらい | 毎月の変化や異常の兆しを早く見つける | 電気を止めないと確かめられない項目まで確認する |
国の解説では、月次点検は「設備が運転中の状態において行う」点検と位置づけられています。つまり、建物の電気を止めずに、ふだんどおり業務を続けていただいたまま行う点検です。
頻度は、保安管理を外部に委託している場合、原則として月に1回以上です。なお2025年4月からは、監視装置の設置や主要な機器の計画的な更新など、一定の条件を満たす設備に限り、3か月に1回以上とすることも認められるようになりました。
年次点検の停電日の準備については、年次点検の停電日、お客様が準備しておくことで詳しくご紹介しています。
月次点検で確認していること
月次点検の中身は、国の基準でおおむね次の3つが定められています。
1. 目と耳と鼻で確かめる「外観点検」
いちばん時間をかけるのが、設備を目で見て、音を聞いて、においを確かめる点検です。主に次のようなところを見ています。
- 異音・異臭・損傷・汚れがないか(「ジー」という普段と違う音や、焦げたにおいは異常のサイン)
- 電線と、周りの物との距離が保たれているか
- 機器や配線の取り付け状態、触れられない部分に過熱がないか
- **接地線(アース)**などの安全のための装置が、きちんと取り付けられているか
対象は、電柱から建物に電気を引き込む設備、キュービクルの中の変圧器や遮断器、配電盤、建物の構造物(キュービクルの外箱など)、発電機や蓄電池、さらに建物内の配線や機器まで、設備全体にわたります。
現場ではこのほかに、キュービクルの中に虫や小動物、ごみが入っていないか、換気がとれているか、錆や変色がないかといった点もよく見ています。小さな虫や動物の侵入、ほこりの積もりは、思わぬ事故のきっかけになることがあるからです。
2. 計器で確かめる「測定」
目で見るだけでは分からないところは、測定器を使って確かめます。
| 測るもの | 分かること |
|---|---|
| 電圧 | 建物に届いている電気の電圧が適正か |
| 負荷電流 | 変圧器などに、能力を超える電気が流れていない(過負荷になっていない)か |
| 漏れ電流 | 建物内の配線や機器から、電気が漏れていないか(漏電の早期発見) |
漏れ電流は、漏電による感電や火災を防ぐための大切な目安です。数値に変化があれば、どの系統から漏れているのかを追いかけて、原因を探します。
3. お客様に伺う「問診」
意外に思われるかもしれませんが、お客様へのヒアリングも、国の基準で月次点検の項目として定められています。
日ごろの巡回などで、普段と違うことがなかったかを伺い、気になることがあれば、私たち技術者の目で改めて点検します。
立ち会いのときにお願いしたいこと
月次点検は電気を止めないので、年次点検ほど大がかりな準備はいりません。そのうえで、立ち会っていただくときに次のことをお願いしています。
点検の前に
- キュービクルや電気室の鍵、入室の方法を確認しておく
- キュービクルの周りに物を置いていないか(扉の前がふさがっていると点検できません)
- この1か月で気になったことをメモしておく
点検のときに伺うことの例
次のようなことがあれば、どんな小さなことでもお知らせください。
- ブレーカーが落ちた、照明がちらついた、一瞬停電した
- キュービクルや分電盤から音やにおいがした
- 機械や空調を増やした、または増やす予定がある
- 改装・増築・レイアウト変更の予定がある
- 漏電の警報が鳴った、表示が出た
とくに設備の増設や改装は、電気の使い方そのものが変わるため、早めに分かると助かります。「こんなことを言ってもいいのかな」と思うことほど、点検のヒントになります。
担当者の確認
国の基準では、点検に来た担当者が、委託契約書に書かれている本人であるかを、お客様に確認していただくことになっています。私たちの担当者も、身分を示す証明書をお持ちしています。初めての担当者のときなどは、遠慮なくご確認ください。
点検のあとに:報告と記録
点検が終わったら、結果をご報告します。国の基準では、お客様が報告を受け、その記録を確認して保存することになっています。報告書は、ファイルなどにまとめて保管しておいてください。
報告書を見るときは、次の点に注目してみてください。
- 前の月と比べて数値が変わっていないか(電圧・電流・漏れ電流)
- 指摘事項・改善のお願いが書かれていないか
点検で、修理や取り替えが必要なところを見つけた場合には、その内容をお伝えし、対応をご提案します。「ケーブルの取り替え時期が来ています」といったお願いをすることもあります。急な故障で停電が起きる前に、計画的に手を打つためのものですので、時期や予算もあわせてご相談ください。
報告の内容で分からないことがあれば、その場で聞いてください。専門用語を使わずにご説明するのも、私たちの大切な仕事です。
月次点検以外にも、見守っていること
月次点検は「月に一度、来て見る」だけのものではありません。
- 漏電を監視する装置(絶縁監視装置)がある設備では、一定以上の漏れ電流が続くと警報が届き、私たちが原因を調べて対応します
- 事故や故障が起きたときには、お客様からのご連絡を受けて、安全のための指示を出し、必要に応じて駆けつけて臨時の点検を行います
そのため、外部委託の設備では、お客様側にも**私たちとの連絡窓口になる方(連絡責任者)**を決めていただいています。窓口の方が替わったときは、私たちにもお知らせください。
長いお付き合いだからこそ
月次点検は、毎月同じ設備を、同じ担当者が見続ける仕事です。お付き合いは10年、20年と続くことも珍しくありません。
だからこそ、私たちは毎月の点検を、お客様と顔を合わせて話せる大切な機会だと考えています。「最近、新しい機械を入れたんですよ」「年末に電気室を大掃除しました」——そんな何気ない会話から、設備の変化に気づくこともあります。
点検の日に、ぜひ一声かけてください。
動画でもご紹介しています
キュービクル点検の流れは、YouTube「電気保安の学校」でもご紹介しています。
まとめ
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月次点検は、電気を止めずに、原則として月に1回以上行う点検です
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中身は、外観点検(見る・聞く・におう)、測定(電圧・電流・漏れ電流)、お客様への問診の3つです
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立ち会いでは、鍵の用意・周りの片づけ・気になったことのメモをお願いしています
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報告書は保管し、前の月との違いと指摘事項に注目してください
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分からないことは、点検の担当者にそのまま聞いてください
参考にした公的資料
- 経済産業省「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」4.(7)(月次点検の定義・点検項目、担当者の確認、報告の記録、警報発生時と事故時の対応)、4.(8)(連絡責任者)
- 経済産業省「主任技術者制度に関するQ&A」(令和8年10月版)3.13
- 経済産業省「『電気事業法施行規則第五十二条の二第一号ロの要件等に関する告示』等の一部改正について」(2025年4月1日施行。月次点検を3月に1回以上とできる需要設備)
制度の細かな内容は改正されることがあります。点検の頻度や方法を見直す際は、担当の技術者または所轄の産業保安監督部で最新の内容をご確認ください。
株式会社電気保安HIKARIは、岐阜・愛知・三重の東海エリアで、キュービクルの月次点検・年次点検・電気保安管理を承っています。点検の中身で気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人:電気保安HIKARI


