月次点検を「3か月に1回」にできる条件とは? 2025年4月の改正で認められた設備と、設置者の約束ごと
「月次点検って、毎月来てもらわないといけないんですか?」 「3か月に1回でよくなった、という話を聞いたのですが」
ここ1年ほど、設備をお持ちのお客様から、こうしたご質問をいただくことが増えました。
たしかに、2025年4月1日から、一定の条件を満たす設備に限り、月次点検を3か月に1回以上とすることが認められるようになりました。ただし、どの設備でも頻度を減らせるわけではありません。監視装置をつけること、受電設備の大事な機器を計画どおりに取り替えることなど、設備の側の備えと、設置者(設備の持ち主)の約束がセットになっています。
この記事では、どんな設備が「3か月に1回」の対象になるのか、設置者として何を約束することになるのかを整理します。月次点検そのものの中身については、キュービクルの月次点検では何を見ているの?で詳しくご紹介しています。
そもそも、月次点検の頻度はどう決まっている?
キュービクル(高圧受電設備)の保安管理を、私たちのような外部の電気管理技術者・電気保安法人に委託している場合、月次点検の頻度は国の告示で決められています。
基本は毎月1回以上です。そのうえで、設備の条件によって次のような頻度が認められています(需要設備の主なものを抜き出しています)。
| 設備の条件(主なもの) | 月次点検の頻度 |
|---|---|
| 下のどれにも当てはまらない設備 | 毎月1回以上 |
| 「信頼性の高い需要設備」で、容量が100kVA以下のもの | 2か月に1回以上(隔月) |
| 「信頼性の高い需要設備」で、漏電を監視する装置(絶縁監視装置)があるなどの条件を満たすもの | 2か月に1回以上(隔月) |
| 「信頼性の高い需要設備」で、漏電と負荷の監視装置があり、受電部分の機器が計画どおり更新されているもの | 3か月に1回以上(2025年4月から) |
この記事で取り上げるのは、表のいちばん下、2025年4月に加わった区分です。
なお、このほかにも、容量が100kVA以下で屋内のキュービクル式など、別の条件で3か月に1回以上が認められる設備もあります。どの区分に当たるかは設備ごとに違いますので、担当の技術者にお尋ねください。
「3か月に1回」にできる4つの条件
国のQ&Aでは、3か月に1回以上とできる設備の条件を、次の4つに整理しています。4つすべてを満たすことが必要です。
1. 「信頼性の高い需要設備」であること
まず、受電の入口まわりが、事故が起きにくく、起きても広がりにくい形になっていることが前提です。具体的には次の4点です。
- 電柱の上に高圧の変圧器がない(ある場合は、落下しないように取り付け、上面まできちんと点検できるようにしている)
- キュービクルの外にある高圧の開閉器に、燃える絶縁油を使っていない
- 電力会社との**責任分界点の近くに、地絡(漏電)を検知して切り離す開閉器(PASなど)**がついている
- 責任分界点から主遮断装置までの間に、決められたもの以外の機器(変成器)がない
責任分界点の開閉器は、建物の中の事故が地域の停電(波及事故)に広がるのを防ぐ大切な機器です。詳しくは波及事故とは?をご覧ください。
なお、電柱の上の変圧器についての条件は、2026年10月の告示改正で、措置をしていれば条件に合うものとして見直されました。
2. 漏電を見張る「絶縁監視装置」がついていること
建物の中の低圧の配線から電気が漏れていないかを、24時間見張る装置です。
漏れた電流が一定の値(上限は50ミリアンペア)を超えた状態が5分以上続いたり、繰り返し起きたりすると、警報が私たちのもとに届きます。警報を受けたら、私たちが原因を調べて必要な対応をとります。
3. 電気の使いすぎを見張る「負荷の監視装置」がついていること
2025年4月の改正で新しく求められるようになったのが、この装置です。変圧器ごとに、流れている電流を連続して測り、離れた場所から確認できるようにします。
国のQ&Aでは、たとえば次のような働きが挙げられています。
- 30分ごとの電流を記録し、1年分以上のデータを残せる
- 変圧器の定格を超える電流が4時間以上続いたら、技術者にすぐ警報が届く
- 装置そのものが止まったときも、技術者に分かるようにする
警報がくり返し届いたときは、私たちが原因を調べ、機械の動かし方を調整していただくなど、使いすぎを避ける対策を一緒に考えます。負荷の記録は1年間保存します。
月に一度の点検では、その日その時の電流しか分かりません。監視装置があれば、毎日の使い方の変化を、点検のない月も見守ることができます。
4. 受電部分の機器を「計画どおりに」取り替えていること
もう一つの大きな条件が、責任分界点から主遮断装置までの機器を、計画を立てて取り替えていくことです。対象は、次のような、受電の入口にある機器です。
- 電柱やキュービクルの入口にある開閉器(PAS、PGSなど)
- 遮断器(VCB、LBSなど)
- 引込みのケーブル(キュービクルが複数ある場合は、その間をつなぐケーブルも含む)
これらの機器について、メーカーが定める更新時期や耐用年数をもとに、主任技術者と相談して更新の計画をつくり、保安規程(設備の保安のルールを定めた書類)に書き込みます。そして、計画の時期が来たら、実際に取り替えます。
設置者として約束すること
ここまでの条件のうち、とくにお客様に関わるのが「計画どおりの更新」です。3か月に1回にする場合、次のことを約束していただくことになります。
- 受電部分の機器の更新の計画を、私たちと相談してつくる
- その計画を保安規程に定め、産業保安監督部に届け出る
- 委託契約書に、計画に従って更新することを書く
- 時期が来たら、技術者の指示に従って実際に取り替える
- 監視装置の警報が続くときは、原因の調査と対策に協力する
年次点検では、私たちが計画どおりに更新されているかを確認します。
ここで大切なのは、更新の時期が来ても取り替えないままでいると、3か月に1回の条件から外れるということです。その場合は、条件に合った点検頻度に戻し、改めて手続きをし直す必要があります。国のQ&Aでは、手続きをしないまま3か月に1回の点検を続けると、法律にもとづく処分を受ける場合があるとされています。
機器の取り替えには費用がかかります。点検の回数が減ることだけでなく、数年先の更新費用まで含めて考えることが大事です。
切り替えまでの流れ
3か月に1回に切り替える場合、おおむね次のような流れになります。
- 今の設備が条件に合うか確認する:受電の入口まわりの機器、監視装置の有無、機器の年数などを、私たちが確認します
- 必要な装置をつける:絶縁監視装置や負荷の監視装置がない場合は、取り付けを検討します
- 更新の計画をつくる:対象の機器ごとに、更新の周期と次の更新時期を整理します
- 書類を整える:保安規程の変更、委託契約書の見直しを行います
- 産業保安監督部に申請・届出をする:外部委託の承認申請と、保安規程の変更の届出をあわせて提出します
手続きの書類づくりは、私たちがお手伝いします。判断に迷う点は、事前に所轄の産業保安監督部に相談しながら進めます。
3か月に1回にしても、見守りは続きます
「点検が3か月に1回になったら、その間は誰も見ていないのでは」と心配される方もいらっしゃると思います。
実際には、この区分の設備では、漏電の監視装置と負荷の監視装置が、点検のない月も設備を見守ります。警報が届けば、私たちが原因を調べて対応します。事故や故障のときにご連絡いただければ、これまでどおり駆けつけます。
一方で、監視装置で分かるのは電気の数字だけです。キュービクルの中の小動物の侵入、錆や汚れ、異音や異臭といった変化は、人が足を運んで見なければ分かりません。点検の間があく分、日ごろ設備の近くにいる皆さまからの「いつもと違う」というお知らせが、これまで以上に大切になります。
私たちの考え方
3か月に1回が向いているかどうかは、設備によって違います。
- 受電設備が新しく、更新の計画を立てやすい
- 設備の使い方が安定していて、増設の予定が少ない
- 監視装置をすでにつけている、またはつける予定がある
こうした設備では、検討する価値があります。反対に、受電設備が古く、近いうちに大きな更新が必要な場合や、増設・改装の予定がある場合は、毎月の点検のほうが安心なこともあります。
私たちは、頻度を減らすこと自体を目的にするのではなく、お客様の設備にとって無理のない形を一緒に考えたいと考えています。今の頻度のままがよいのか、見直せるのか、まずは気軽にお尋ねください。
まとめ
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外部委託の月次点検は、原則として毎月1回以上です
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2025年4月から、条件を満たす設備は3か月に1回以上とすることが認められました
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条件は、信頼性の高い設備であること・漏電の監視装置・負荷の監視装置・受電部分の機器の計画的な更新の4つです
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設置者は、更新の計画を保安規程に定め、計画どおりに取り替えることを約束します。取り替えないままだと、3か月に1回の条件から外れます
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切り替えには、外部委託の承認申請と保安規程の変更の届出が必要です
参考にした公的資料
- 経済産業省「電気事業法施行規則第五十二条の二第一号ロの要件等に関する告示」(平成15年経済産業省告示第249号)第4条第7号〜第10号(令和8年10月1日 経済産業省告示第127号による改正後)
- 経済産業省「『電気事業法施行規則第五十二条の二第一号ロの要件等に関する告示』等の一部改正について」(令和7年4月1日施行)
- 経済産業省「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)の一部を改正する規程」4.(7)③ロ(ト)・⑤・⑦・⑧(令和7年4月1日)
- 経済産業省「主任技術者制度に関するQ&A」(令和8年10月版)3.4、3.13
制度の細かな内容は改正されることがあります。点検の頻度を見直す際は、担当の技術者または所轄の産業保安監督部で最新の内容をご確認ください。
株式会社電気保安HIKARIは、岐阜・愛知・三重の東海エリアで、キュービクルの月次点検・年次点検・電気保安管理を承っています。点検の頻度や監視装置のことで気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人:電気保安HIKARI

